本文へ移動

学習障害の方

①よくあるお悩み

知的発達に遅れはなく、聴覚・視覚機能にも問題がないにもかかわらず「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」ことが、極端に苦手であるといった状態を指します。
またその中で、読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3種類のタイプがあります。

・読字障害(ディスレクシア)・・・読むことに対する困難

文字を一つ一つ拾いながら読む。
音読速度が遅い。
読み飛ばしを多くしてしまう。
語尾や文末を適当に自分で変えて読んでしまう。
形の似ている文字の判別がつかないことがある。
聴力に問題がないにもかかわらず、言われた言葉の聞き間違いが多い。

・書字表出障害(ディスグラフィア)・・・「書き」の困難

ひらがなで書けない字がある。
漢字をなかなか覚えられず、覚えてもすぐ忘れてしまう。
英語など、外国語の読み書きが苦手で、習得が困難。
幼少期に文字に興味を示さず、覚えようとしない。

・算数障害(ディスカリキュリア)・・・「算数、推論」の困難

数を数えるのが苦手。
時計が読めない。
簡単な1桁の足し算、引き算ができない。
筆算はできるが、暗算ができない。
繰り上がりや、繰り下がりの仕組みが理解できない。
図形の模写ができない。
読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の症状が一つ以上あり、それが少なくとも6ヶ月以上持続してある場合、学習障害の可能性があります。

②なぜその症状は起こるのか

学習障害が起きる原因は、はっきりとは解明されておらず、脳の機能障害によって見た形を正しく理解する視覚認知力や、字を音に変換する能力になにか問題が起きているのではないかと考えられています。
 
ただ、交通事故や脳卒中(脳血管障害)などを原因とする「高次脳機能障害」の症状のひとつである「失語症」と症状が似ることもあります。
この高次脳機能障害は、脳卒中などその原因となる出来事が起きてから発症し、高齢の人の割合が高いとされています。
 
一方、学習障害は就学前から症状が継続していることが特徴ですので、診断時の判別基準の一つとされています。

③例を放っておくとどうなるか

学習障害は、疾患そのものがあまり知られておらず、本人も自分の努力不足だと思い込んでいることがあります。また人によって得意・不得意なことに大きな個人差のある障害です。
 
学習面でつまずきがみられた場合、早めに支援を受けられるための環境整備は必要です。
支援がうけられない場合、学習への苦手意識が強まり、勉強をしなくなることで学業困難に陥ることも少なくはありません。
 
また、学習障害には、自閉スペクトラム症や注意欠如多動性障害、発達性協調運動障害などの神経発達症が併存することが指摘されています。また、未診断のまま月日が経過してしまっていた事例では、不安症や抑うつ障害を併発する可能性もあります。
 
しかし、早期発見が大切であることがいわれている反面、早期発見のしにくさがあります。例えば文字の獲得につまずきがみられた場合、「学年が上がればなんとかなるだろう」と放っておくのではなく、周囲が気づき、支援が得られるように配慮する必要があります。